徒然なるままに本と日常

生きづらい新入社員が綴る日常と本のこと

マルドゥック・スクランブル The First Compression 圧縮

📖あらすじ(本文より抜粋)

なぜ、私なの?ー賭博師シェルの奸計により、
少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして
ネズミ型万能兵器のウフコックだった。
高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットは
シェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官
ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった……
弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動!

🌿感想

マルドゥックシリーズ1作目を読了したのですが、、これを消化中するのにかなり時間を
要しました。読み終わったばかりのわたしに
ただ言えるのは、面白い予感がふつふつと湧くこと。

バロットが育った境遇の割に愛されて育った人
特有の言動もあって、疑問に思うけど、
そのちぐはぐさもポイントなのかも。
彼女の得も言われぬ違和感というか、バランスのないあやふやな感じが、丁寧に伝わってきます。

実のところ、あまりSFは得意じゃないのですが
このシリーズに関しては設定がぶっ飛び過ぎて
いないので想像しやすいし、登場人物も多すぎないし、敵味方の力関係もわかりやすかったです。
でもテーマは重いので読み応えがありました。

卵の調理法に関する人物名がほとんどで、
イースター」の名前をもつドクターはもしかして一番すごい人なのでは?と思いました(笑)
ただの卵じゃない、特別な日の特別な卵。

「バロット」は孵化直前のアヒルの雛のゆで卵の
こと。人間として孵化する前に、圧倒的な社会の
力にゆでられて固まってしまったのか。
それでいて名字は「フェニックス=不死鳥」。
誰がゆで卵から孵化させてくれるのか。バロット自身に殻を破らせてくれるのか。それはきっと、
これから読めばわかる。

ウフコックとバロットの関係も魅力的。
悲しい過去を背負ったバロットと、濫用されて
傷ついたことのあるウフコックだからこそ、
わかりあえたんだと思うと…うっ…(緩む涙腺)